建物を建てる際には、地盤調査を行います。その結果、地盤に問題があった場合は地盤改良が必要です。
ここでは、そもそも地盤改良とはどのようなものなのか、具体的にどういった方法で改良が行われることになるのかについて解説します。
地盤改良とは、その名の通り地盤を改良することにより、強固なものにする方法です。地中深くに補強材を埋め込む工事を行い、建物を支える力を向上させます。
地盤改良の必要性と、工事が必要なケースについて解説します。
地盤改良は必ずやらなければならないものではなく、必要な場合のみに行われるものです。土地の固さが十分にない場合、地盤を改良することなく建物を建てると、数年後、早ければ数ヶ月後に沈下してしまう可能性が高く、とても危険な状態だと言えます。
地盤改良を行う場合、費用はかかりますが、改良工事を行うことなく建物を建てた時のデメリットやリスクの方が大きいといえます。
地盤改良は地盤調査の結果、必要と判断されたケースのほかに、過去に陥没があった土地や液状化などの可能性がある土地についても地盤改良工事が必要とされています。
地盤改良にかかる費用を抑えるために、あらかじめ地盤改良が必要ない土地を探して選ぶ方もいます。ハザードマップで液状化のリスクを調べるなどの方法もありますが、実際には地盤調査をしてみなければわからないことがあるのが実情です。
地盤改良にはさまざまな方法があります。ここでは、代表的な地盤改良の方法である表層改良工法、柱状改良工法、小口径鋼管杭工法について紹介します。
地盤のうち、非常に浅い部分にのみ問題があるようなケースでは、表層改良で地表周辺を固める工事が行われるのが一般的です。その際に使用されるのはセメントが主流とされています。
地表から2メートルほどの深さまで土を掘り、セメント系の固化材を入れてから土を戻します。続いて元の土とセメントがまざるように撹拌する方法です。
費用の目安として、床面積が20坪程度であれば50万円ほどかかります。深い部分に問題があった場合は表層改良工法では対応できないものの、表層改良工法で済ませられるようなケースでは短工期・低コストで改良できるのがポイントです。
狭小地でも対応できるほか、さまざまな土質・地盤において選択できます。
柱状改良工法は、表層改良工法では十分な強度が出ない場合に行われる方法です。建物の下にあたる地盤にコンクリートの柱を何本も注入し、強度を高めていきます。
柱状改良工法では、直径60センチほどの穴を地中にあけ、問題のない地盤になるまで掘り進めますが、どの程度掘る必要があるかはケースによって違いが大きいので、一概には言えません。
特に一戸建て住宅の場合は、そこまで深く打たないケースもあります。
穴に水とセメントを注入して土と混ぜ、円柱を築いていきます。
費用は、50~80万円程度ですが、何本も深く打つような場合は100万円を超えることも多いのが実情です。
小口径鋼管杭工法とは、軟弱層が厚い場合に選択される地盤改良の方法です。地盤が安定している支持層まで小口径鋼管を打設し、鋼管の力を用いて地中から建物を支えます。
小口径鋼管杭工法では、30メートルほどの深さまで地盤補強ができるため、表層改良工法では対応できなかった場合に選択される方法です。深くまで地盤改良ができますが、工期は1~2日程度とそれほどをかかりません。
杭をマシンに取り付けてから回転させて地盤に貫入していく形となるため、低騒音・低振動であるのも特徴です。狭小地にも対応できます。
費用は50~80万円程度であり、柱状改良工法とおおよそ同じくらいなのが一般的です。