本記事では、地盤改良におけるIGウォール工法の概要や、メリット・デメリットについて解説します。
IGウォール工法は、地盤の安定性を高めるための強化工法です。これまで広く行われていた浅層地盤改良工法が抱える課題解決を目的に開発されました。セメント系の固化材と土を混ぜ合わせて改良体をつくり、それをベタ基礎のすぐ下に井桁状に配置します。この作業により、改良体とその間にある自然の地盤とが一体となって複合的な支持層を構成することで、地盤全体の支持力を向上させる工法です。
IGウォール工法は、住宅密集地や敷地に余裕がない場所でも施工できるとされており、都市部での建設に適しています。地中に鋼管と改良体を造成する構造なので、周囲への影響を抑えながら、必要な支持力を確保できます。狭小地でも対応しやすいため、都市部における住宅建設での採用例が多く見られます。
施工時の騒音や振動を抑えることができるため、住宅街や学校、病院の近くなどでも周辺に配慮しながら工事を行えます。また、掘削による残土の排出量も比較的少ないため、環境負荷の低減が期待される点も利点とされています。
杭状改良体を井桁状に連続配置することで、広範囲に支持力を分散させる構造です。荷重を点ではなく面で分散して受け止めることにより、地盤全体に負荷を分配できます。そのため、特定の場所だけが沈む「不同沈下」のリスクを軽減できる点もメリットです。鋼管は建物の基礎と連動するため、構造全体の安定性向上につながり、建築に適した地盤条件を構築できます。
IGウォール工法は、公益財団法人日本建築総合試験所の技術証明を取得しており、設計条件や適用範囲が公的に定められています。建築基準法に基づく構造設計にも対応しており、性能が公的に認められた工法である点も、採用する上でのメリットです。
IGウォール工法は、小規模の建築物に適した工法とされています。そのため、状況によっては大規模の建築物には適さない可能性がある点はデメリットの一つです。採用する際には、対象となる建築物が本工法に適しているか検討する必要があります。
IGウォール工法は、壁状に配置された地盤改良体で建物を支持する工法です。改良体を格子状配置することで、基礎底面全体で荷重を分散して支持するため、不同沈下抑制に優れます。施工時の騒音や振動が少なく、狭い敷地や近接地でも対応可能なため、都市部の住宅建設にも適している点が特徴です。また、一般財団法人日本建築総合試験所による技術証明を取得しており、基準に準拠した工法として認められています。