本記事では、地盤改良に用いられる吸水型振動棒締固め工法(SIMAR工法)について、特徴・用途・仕組み、さらにメリットやデメリットを紹介します。
このページで分かること
吸水型振動棒締固め工法は、SIMAR(シマール)工法とも呼ばれ、飽和砂地盤が液状化を起こさないための対策方法として用いられている工法です。大型のバイブロフロットを対象の地盤に貫入し、直接振動させることで密実化を図るものですが、振動によって生じた液状化領域に過剰間隙水圧が発生するため、吸水管で吸引し水圧を除去することで、締固め効果を安定させます。
はじめに、吸水機構が付いたバイブロフロットを地盤内に貫入します。排水ポンプで地下水を吸引し、振動によって砂粒子間の結合を緩め、間隙水を効率的に排出できる状態とします。吸水中も振動によって締固めが行われ、少しずつバイブロフロットを引き上げながら吸水と振動を繰り返し、地盤の奥から密実化して完成です。
従来のバイブロフローテーション工法が水を注入するのに対し、SIMAR工法は水を吸引して減らすことで圧密効果を高めます。港湾施設や護岸工事など堅牢な施工が求められる場所での砂質地盤の改良、大規模建築物や重量構造物の沈下防止、地盤の安定化や支持力の強化を目的として用いられる工法です。
SIMAR工法は間隙水を吸引する仕組みを備えており、従来工法と比べて短期間で密実化が進むとされています。地盤への締固めが行き届きやすく、砂質かつ液状化の懸念が強い場所への施工に適しています。20mを超える大深度まで改良できるため、浅層が対象となるバイブロフローテーション工法よりも深い層まで施工が可能です。
以前は吸水部に目詰まりが発生し、効率的に水を吸い取れない点が問題となっていましたが、改良によりデメリットを克服し、高効率の吸水が行えるようになりました。
SIMAR工法は砂質土を対象としているため、粘性土壌では砂質土ほどの効果が期待できない場合があります。バイブロフロットを吊り下げるクレーンや、吸排水を行うポンプ設備などが必要になるため、大型機械が搬入できない狭小なエリアには不向きです。
他の振動棒締固め工法と同じく、振動を伴う工事です。揺れのほかに騒音にも配慮しなければならないため、住宅の多い地域などでは制限によって施工できない可能性があります。
吸水型振動棒締固め工法(SIMAR工法)は、吸水機構を搭載し、地盤内部を密実化して締固め効果の向上を図る工法とされています。振動棒の貫入深さには限界があるため、大深度の改良が難しい場合や、機械設備の搬入・設置が制約を受ける場合があります。
一方で、従来の締固め工法で指摘されていた振動棒先端部の液状化の課題に対応し、軟弱地盤を効率的に強化できる手法とされています。従来の方法では対策が不十分な場合や、液状化の懸念が大きな土地には、SIMAR工法を検討してみてはいかがでしょうか。
A. SIMAR工法(吸水型振動棒締固め工法)とは、吸水機構を備えたバイブロフロットを地盤へ貫入し、振動と吸水を組み合わせて砂質地盤を締め固める工法です。地盤内部の間隙水を吸引しながら密実化を進めることで、液状化対策や支持力向上を図ります。
A. 主に砂質地盤に適した工法です。特に液状化リスクが高い飽和砂地盤で採用されることが多く、港湾施設や護岸工事、大規模建築物の基礎地盤改良などで利用されています。一方、粘性土では十分な効果が得られにくい場合があります。
A. 地盤内部の間隙水を吸引しながら締固めを行うため、短期間で効率よく密実化を進めやすい点がメリットです。また、20mを超える深い地盤まで改良できるため、従来のバイブロフローテーション工法より深部改良にも対応しやすい特徴があります。
A. 港湾施設や護岸工事、重量構造物の基礎工事など、強固な地盤が求められる場所で採用されています。また、液状化対策が必要な埋立地や大規模建築物の建設現場でも活用されています。
A. 大型クレーンや吸排水設備が必要になるため、狭小地では施工が難しい場合があります。また、振動や騒音を伴う工法であるため、住宅密集地など周辺環境への配慮が必要な現場では採用が制限されるケースもあります。
A. 事前の地盤調査が重要です。砂質地盤の状態や液状化リスク、施工スペースの確保状況によって適用可否が変わるため、地盤条件を十分に確認する必要があります。また、周辺環境への影響や大型機械の搬入条件についても事前検討が求められます。