地質調査業者が入札の際に談合などの不正行為をすると、公正取引委員会によって立入検査を受けたり課徴金を課されたりして処分を受ける可能性があります。そういった業者に発注した場合、発注した建築士にもトラブルの影響が及ぶリスクが発生します。地盤調査を依頼する際には信頼できる優良な業者を選定することが重要です。
この記事では地盤調査を行う地質調査会社の談合とはどういったものをいうのか、談合した場合の処分について解説します。
引用元:https://tochikatsunavi.com/amamori-ie-baikyaku2/
【元弁護士・ライター】 保有資格:司法試験合格、簿記2級
京大法学部在学中に司法試験に合格。10年にわたる弁護士実務経験とライティングスキルを活かして不動産メディアや法律メディアで精力的に執筆中。不動産については売買、賃貸、契約違反、任意売却、投資、離婚、相続、解体や許認可等、あらゆる分野に精通している。弁護士からの信頼も厚く多くの法律事務所サイトの記事も手掛けており、監修案件も多数。You Tubeによる法律情報の発信や弁護士志望者のサポート活動も行っている。
実際に地質調査会社が談合の疑いで立ち入り調査を受けた事件があります。
2022年10月25日、高知県内の測量設計会社10社以上が入札の際に談合を繰り返した疑いがあるとされ、公正取引委員会による立ち入り検査を受けました。
容疑の具体的な内容は「独占禁止法違反(不当な取引制限)」です。
談合は1回だけではありません。今回、調査対象となった各社は10年以上前から、高知県における地質調査業務の入札の際、事前に話し合って落札額や落札する業者を決めていた疑いがあるとのことです。その間に地質調査業務が発注された件数は年に200件ほどであり、金額にすると年10億円弱にもなります。
実態として、談合にかかわった会社のうち数社が「幹事」となってとりまとめを行い、他の談合に参加している各社へ受注を割り振っていたとみられています。
談合とは、競争入札に参加しようとする者が事前に話し合い、落札価額や落札者を決めることです。
参加者が順番に落札するようにすれば全員が平等に利益を得られますし、事前に価額を決めておくので受注額の低下も避けられます。
しかし参加者によって談合が行われると公正な競争が損なわれるので、競争入札を実施する意味がありません。よって独占禁止法や入札談合関与行為防止法により、談合は固く禁止されています。
地質調査会社が入札の際に談合をすると、以下のような処分を受ける可能性があります。
まずは違反行為を排除するよう命じられます。
談合をすると、事案に応じて課徴金も課されます。
課徴金の金額は違反行為が行われた期間における売上額や談合によって得られた財産的利益などをもとにして算定されます。
ただし自主的に公正取引委員会へ違反行為について報告し、資料を提出するなど一定の要件を満たせば課徴金の免除や減額を受けられます。
地質調査会社の登録停止期間中は、以下の行為をできなくなります。
悪質な場合には公正取引委員会によって告発され、刑事罰が科される可能性もあります。
談合を実際に行った者には5年以下の懲役又は500万円以下の罰金刑、事業者や事業者団体には5億円以下の罰金が科されます。
法人の代表者や事業者団体の役員がカルテル・入札談合などの計画を知り、防止のために必要な措置を採らなかった場合には500万円以下の罰金が科されます。
発注先の地質調査会社が不正談合を行ったことが発覚すると、公正取引委員会によって立ち入り調査が行われるなど発注者もトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
談合を行うような遵法意識の低い会社は、データ改ざんなどの不正に関与する不安もあるでしょう。
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