地盤調査会社が不適切な方法で調査を行うと、陥没事故が発生してしまうリスクがあります。
2020年10月、東京都調布市の住宅地で大規模な陥没事故が発生しました。原因は地中で行われていたトンネル工事です。当時、住宅地の下でトンネル掘削をしていた東日本高速道路が謝罪し、地盤の緩みの可能性のある民家を含めて買い取りを打診するなど、波紋が広がっています。
地盤調査の不備によって陥没事故が発生した場合にも同様の問題は生じます。地盤調査会社だけではなく関連する多くの事業者が損害賠償しなければならないリスクが発生するので、建築士にとっても他人事ではありません。
今回は2020年10月に発生した地盤の緩みによる陥没事故の詳細と、建築士がリスクを避けるための地盤調査会社の選び方をお伝えします。
地盤調査会社による不適切な地盤調査にもとづくトラブルに巻き込まれないため、ぜひ参考にしてみてください。
【元弁護士・ライター】 保有資格:司法試験合格、簿記2級
京大法学部在学中に司法試験に合格。10年にわたる弁護士実務経験とライティングスキルを活かして不動産メディアや法律メディアで精力的に執筆中。不動産については売買、賃貸、契約違反、任意売却、投資、離婚、相続、解体や許認可等、あらゆる分野に精通している。弁護士からの信頼も厚く多くの法律事務所サイトの記事も手掛けており、監修案件も多数。You Tubeによる法律情報の発信や弁護士志望者のサポート活動も行っている。
2020年10月、東京都調布市の住宅街において相次いで道路の陥没が起こり、地下の空洞が発見されるトラブルが発生しました。
当時、陥没現場の地下47メートルのあたりにおいて、東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事のため掘削工事が行われている状況でした。
当初、道路工事を行っていた東日本高速鉄道はトンネル工事と陥没事故との因果関係を認めませんでしたが、調査を行った結果「因果関係を認めざるを得ない」と発表するに至りました。
同社は責任を認めて謝罪し、住民側へ賠償をせざるを得なくなりました。具体的には住民側へ仮移転を提案して引越し費用を全額負担するとの条件を提示したり、買い取りを希望する人へ個別対応したりしたのです。
地盤が緩んでしまった民家約30軒については、解体して更地にし、地盤を強化する工事を行うことが決まりました。計画を完了するには約2年かかるとされ、その間住民は仮住まいを強いられることとなります。
また2022年4月、最終的に東日本高速道路は地盤の緩みが確認されていない民家10軒にまで調査を行った上、問題があれば移転や買い取りの打診を行うに至りました。
本件の陥没事故において、東日本高速鉄道は、法令違反を行ったわけではありません。
地下47メートルの深い場所における工事には、住民の同意が不要だからです。深度40メートルを超える工事を「大深度工事」といいますが、その場合には地上の権利者の同意は不要とされているのです(大深度地下法)。
それにもかかわらず、実際に事故が発生すると東日本高速鉄道は広範囲にわたって賠償をしなければならなくなりました。
「法律を守っていた」とはいえ、陥没事故が現実化した以上は知らぬフリができないのです。
地盤の緩みにもとづく陥没事故は、建築士の方にとっても他人事ではありません。
建築士の仕事では地盤調査会社へ地盤調査を依頼し、報告書にもとづいて住宅などの建物を設計するのが一般的でしょう。
地盤調査会社が不適切な方法で調査を行ったり虚偽の報告書を提出したりすると、建築士は間違った前提で建物を設計してしまいます。
地盤調査会社の不正によって陥没事故が起こってしまった場合でも、建築士に責任が発生する可能性があるので注意しなければなりません。建築士は専門家として設計図面についての責任を負うので、単純に「地盤調査会社の対応が悪かった」と弁解するわけにはいかないのです。
東京都調布市において、東日本高速道路も法律を守っていたにもかかわらず陥没事故の責任をとって対応を余儀なくされました。同様に、万が一陥没事故が生じてしまったら漫然と対応を地盤調査会社に任せていた建築士にも責任を問われる可能性があります。
2021年には四国の松山市の地盤調査会社が地盤調査報告書を改ざんする事件が起こり建築士の責任も取り沙汰されました。建築士にとって、信頼できる地盤調査会社を選定し、陥没事故への関与を避けることは極めて重要といえます。
適切な地盤調査会社はどのように選べばよいのか、視点や方法をお伝えします。
まずはこれまでの地盤調査に関する実績が高い業者を選定しましょう。 創業年度についても、基本的には古い方が信頼できる可能性があります。 これまで不祥事などを起こしていない企業を選定しましょう。
実際に見積もりを依頼したり案件を打診したりしたとき、担当者の対応が丁寧な事業者は信頼できる可能性が高いといえます。
複数の地盤調査会社を比較して検討してみるのもよいでしょう。
実績や対応などの面でもっとも信頼できそうな業者を選ぶと間違いが起こりにくくなります。
当サイトでは、四国地方の地盤調査会社を厳選し紹介しています。
これらの会社は、地質調査技士を擁し、無料見積もりを提供するサービスの質の高を基準に選定しています。
地盤調査は建築基準法に則り行われるため、専門家の存在は不可欠。適切な地盤調査により、将来発生するかもしれないリスクを未然に防ぎ、トラブルのない建築計画を立てましょう。
会社名∕公式サイト | 地盤調査・地盤保証 への取り組み |
⾃社で対応可能な項目 | ⾒積もり |
---|---|---|---|
東昇技建 |
|
|
無料 |
サムシング四国 |
|
|
無料 |
グランドワークス |
|
|
無料 |
※2021年5⽉7⽇時点、「愛媛 地盤調査」「香川 地盤調査」「高知 地盤調査」「徳島 地盤調査」それぞれのGoogle検索結果5P⽬までに表⽰される会社のなかで、地質調査技士の在籍が公式HPに記載されており、⾒積もりを無料で取ってくれると明記している地盤調査会社のみを選定。