家を建てる前には地盤調査をするのが一般的ですが、そもそもいつから地盤調査は行われるようになったのか、気になったことはないでしょうか。ここでは、地盤調査の歴史とこれからを紹介します。
地盤調査は「地質学」が原点です。明治時代、1893年に「鉱山開発・土木事業の基礎」などに生かせる学問であるとして、地質学が学習されるようになりました。同年には日本地質学会が設立され、日本各地で地質学が広がりをみせ、地質調査も行われるようになったのです。
当初の地質学は、日本の地質の特性を知るということを目的としていました。しかし日本の近代化や戦争などで石炭や鉄鉱石といった鉱山資源の需要が増え、実際には鉱山開発での使用が活発になります。
日本では、1923年に関東地震が発生します。関東地震では、約2万8,000棟の家屋が倒壊しており、約10万5000人の死者や行方不明者が出るという、甚大な被害が発生したのです。地震がきっかけとなり、防災目的と地質調査が開始。東京・横浜エリアで地質調査が行われ、地盤地質図の作成が命じられました。
時代が昭和に入ると、ダムの開発のための地質調査を実施。さらに1950年代からはインフラ建設に伴う地質調査の需要が高まります。昭和後期から平成にかけては都市部の不動産事業が拡大。さまざまな建物が建設されるようになり、地質調査への需要も高まります。
さらに阪神・淡路大震災により、建築のための地質調査の重要性は見直され、大きく拡大していきます。その結果、現在では建築のための地質調査は、調査全体の90%を占めています。
平成の終わりから令和にかけては、自然災害による被害が毎年のように発生しています。そのことから、防災のための地質調査の需要が爆発的に増加している状態です。
令和に入り、ますます自然災害は続くと考えられているため、防災のための調査の需要が高まっている傾向は続いています。さらに、建築から50年以上経過したインフラ設備が増えたことで、インフラ建造物の修繕や建て替えのための調査も盛んに行われていくでしょう。
一方で、住宅建築のための地盤調査は減少傾向です。建築をする前に地盤調査をする人が減るというわけではなく、そもそも住宅を建築する人が減少していくことが主な要因です。
地盤調査は明治時代から始まり、用途や目的を変えて変わらず行われてきました。地盤調査の方法などは昔と変わっているところもありますが、どんな地盤であるか、建設を行っても問題ない土地であるかどうかを確かめる、という最終的なチェックポイントはいつの時代でも同じです。地盤調査の歴史を知ると、家を建てる時に行う地盤調査の重要性・大切さが理解できるでしょう。