2020年2月、神奈川県にてマンションの斜面崩壊が起こり、近くの道を歩いていた女子高生が巻き込まれる事故が発生しました。
マンションをはじめとした各種不動産を設計する建築士の立場としても、しっかり対策しておかないと損害賠償請求をされるリスクが発生します。
今回はマンションなどの斜面崩壊と地盤調査の関係、建築士の責任について解説します。
建物の設計に携わる方や所有者、管理会社などの方はぜひ参考にしてみてください。
引用元:https://tochikatsunavi.com/amamori-ie-baikyaku2/
【元弁護士・ライター】 保有資格:司法試験合格、簿記2級
京大法学部在学中に司法試験に合格。10年にわたる弁護士実務経験とライティングスキルを活かして不動産メディアや法律メディアで精力的に執筆中。不動産については売買、賃貸、契約違反、任意売却、投資、離婚、相続、解体や許認可等、あらゆる分野に精通している。弁護士からの信頼も厚く多くの法律事務所サイトの記事も手掛けており、監修案件も多数。You Tubeによる法律情報の発信や弁護士志望者のサポート活動も行っている。
今回取り上げるマンションの斜面崩壊事故は、2020年2月に神奈川県逗子市内で発生したものです。
突然マンション敷地内で斜面崩壊が起こり、近くを歩いていた女子高生(当時18歳)が巻き込まれて死亡しました。女子高生に降り掛かってきた土砂は60トンにもなります。
女子高生の親族はマンションの区分所有者や管理会社、管理組合の責任を問い、損害賠償請求を行いました。また区分所有者と管理会社には刑事告訴も行い、刑事的な処分も求めています。
遺族側から責任を追及された区分所有者と管理組合も黙って納得したわけではありません。
2021年4月に以下の人や事業者へ損害賠償請求訴訟を提起しました。
設計監理を行った建築士も訴えられる対象となったのです。
本件の斜面崩壊事故でなぜ設計監理者が訴えられたのでしょうか?原因は「地質調査への対応」がずさんだったことです。本件では、マンションの売主は地質調査会社に依頼して地質調査を実施しました。そこでは問題となった斜面について以下のような報告が行われていました。
設計監理者は地質調査の内容を知る立場にあります。上記のような報告を受けていた以上、斜面の安全性を確保する義務があるといえます。それにもかかわらず十分に対策しないまま設計監理を進めたことが、不法行為を構成するとして責任を問われるに至りました。
建築士は専門資格をもって建物設計を行う立場です。
プロが地質調査において崩落の危険を把握していた以上、斜面崩壊を防ぐための対策を施して設計監理を行う必要があったといえるでしょう。それにもかかわらず漫然と対応し、結果として本件の事故につながったと考えられるので、不法行為が成立するというのが原告らの主張の骨子です。
このように、地盤調査結果への対応が不十分で斜面崩壊などの事故が起こったときには、設計監理にかかわる建築士にも責任が及ぶ可能性があります。
建築士の立場としては、地盤調査の結果を受けたとき、問題がありそうな報告内容であれば事故を未然に防ぐための十分な対策をとるべきといえるでしょう。
本件の斜面崩壊事故では、地質調査自体は適切に行われたけれども、設計監理者が対策を怠ったために損害賠償請求が行われました。
これに対し、地質調査会社自身による報告が不適正であるために問題が発生するケースもあります。たとえば2021年には四国の地盤調査会社でデータ改ざんなどの不正が発覚しました。地盤調査報告書に不正があると、それを信じて建物の設計を行った建築士にも責任が及ぶ可能性があります。 建築士としては、信頼できる地盤調査会社を選定する必要性も高いといえるでしょう。これらの会社は、地質調査技士を擁し、無料見積もりを提供するサービスの質の高を基準に選定しています。
地盤調査は建築基準法に則り行われるため、専門家の存在は不可欠。適切な地盤調査により、将来発生するかもしれないリスクを未然に防ぎ、トラブルのない建築計画を立てましょう。
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