地盤改良のトラブルとは?

地盤改良時は、さまざまなトラブルが起こる可能性を考えておかなくてはなりません。では実際には地盤改良でどのようなトラブルが起こり得るのか、詳しく見ていきましょう。

地盤改良のトラブル事例

地盤改良のトラブルには、さまざまな種類のトラブルがあります。

近隣との騒音問題

地盤改良工事で気を付けなくてはいけないのが、近隣との騒音問題です。重機を用いて地盤改良を行う際、大きな音や振動が発生します。また粉塵が飛び散ることもあります。その他にも、たばこやゴミ捨てのマナーがトラブルにつながる場合もあるでしょう。

基本的に工事を行う工務店や業者が近隣に挨拶をするものですが、より近い距離の住民には直接出向いて挨拶と説明をしておくと、トラブルの発生率は下げられるはずです。

土壌汚染が生じる

地盤の強度を高められる一方で、地盤改良の副作用として土壌汚染が生じる恐れがあります。セメント系固化材の使用で6価クロムの発生が考えられます。6価クロムには発がん性があるということが明らかになっているため、地盤改良を行う際は土壌汚染のリスクを考えたうえで工法を選択する必要があるでしょう。

遺跡などの埋設物の発見

地盤改良の間に埋葬文化財が出てきてしまったときは、所轄の市区町村に連絡を入れて対応を待たなくてはいけません。また発見された埋蔵物が重要な物であった場合は、施主が埋葬物の掘削を行う必要があります。県によっては埋葬文化財マップというものがあるため、そちらを参考にして土地探しをすると、トラブルに巻き込まれる可能性は下がります。

軟弱層の厚さが異なる

建築物を支えきれずに沈下を起こす可能性がある地盤のことを、軟弱層といいます。河川と水田の跡地、埋め立て地、盛り土や切土が混在している造成地は軟弱層に当てはまります。軟弱層に家を建てる場合、地震の揺れが大きくなったり不同沈下が発生したりする恐れがあるため、注意が必要です。支持地盤に傾斜がある場合、軟弱層の厚さが異なることはきちんとした地盤調査をしないとわかりません。

支持するための杭を打ち込んでも、片方しか支持層に届いていない…という不良な地盤改良になり、支持層に届いていない方の地盤や軟弱層が厚い方に建物が沈下していく、というトラブルが発生します。

セメントが固まらない

セメントを流し込んで地盤の強化をしたり支持杭にしたりするのですが、腐葉土はセメントとの相性が悪く、セメントが固まりません。農耕地にセメントを用いた工法の地盤改良工事を行ったものの、セメントが固まらずに地盤改良工事がうまく行えなかった、というトラブルが起こります。

農耕地の場合はセメントを用いた工法ではなく、異なる工法で地盤改良を行う必要があるでしょう。

杭が届いていない場合がある

地盤改良を行っても、改良工事が不十分だった場合に発生するトラブルです。改良工事が杭を打ったつもりでも、しっかりと届いておらず固定できていない、というケースです。先ほど紹介した軟弱層の厚さが異なる場合に起こりやすいため、まずはどこに支持層があるのか、場所によって層の厚さに差がないかどうかのチェックが必要です。

地盤沈下や液状化発生する

地盤沈下や液状化の発生も、改良工事の不十分が招くトラブルです。

施工後の性能検査が実施されていないと、地盤改良で実際に改良が行えたかどうか見た目ではわかりません。そのままにした結果、地盤沈下や液状化発生が起こって初めて施工不良が発覚します。