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地盤改良における柱状改良工法と鋼管杭工法の違い

地盤改良の計画時、「柱状改良と鋼管杭、今回の現場はどちらで行くか」の判断は、全体のコストや工期を左右する重要な決断です。しかし、施工費の安さだけで選んでしまうと、想定外のコストや将来の杭撤去問題など、後々のトラブルを抱えかねません。

本記事では建設現場の担当者に向けて、土質への適性から、産廃(残土)処分のコスト、将来の杭撤去といった現場のリアルな事情に即した工法選びのポイントを解説します。

柱状改良工法と鋼管杭工法の基本的な違い

現場で地盤改良を計画する際、柱状改良工法と鋼管杭工法はよく比較される選択肢です。両者は施工方法や使用する材料が異なるため、それぞれ特有の特徴を持っています。

柱状改良工法(セメント系深層混合処理)の特徴

セメント系固化材をスラリー状にして地中に注入し、土と攪拌しながら円柱状の改良体を形成する工法です。浅い深度から中程度の深さの軟弱地盤で採用される傾向があります。

鋼管杭工法の特徴

地中深くにある硬い支持層まで、鋼製の杭を回転させながら貫入させる工法です。セメントを使わず、鋼管の強度そのもので建物を支える仕組みとなっています。土と混ぜ合わせる工程がないため、地盤の土質に依存しにくいという特徴が挙げられます。

工法選びの3つのポイント

実際に現場でどちらの工法を採用すべきか判断に迷った際は、地盤の条件や予算、工期などを総合的に比較する必要があります。ここでは、実務においてとくに重要となる「土質への適応性」「コストと工期の傾向」「残土処理」の3つの選定ポイントを解説していきます。

比較①:適用できる「土質・地盤条件」の違い(腐植土への対応など)

現場の土質によって適した工法は異なります。とくに植物が分解されてできた「腐植土」が含まれる地盤の場合、セメント系固化材を使用する柱状改良では固化不良を起こす恐れが否定できません。一方で鋼管杭工法は、土質の影響を受けずに支持層まで杭を到達させるため、腐植土地盤でも対応できる傾向にあります。

比較②:コスト(費用感)と工期の違い

地盤改良のコストや工期は、支持層までの深さや現場の条件によって変動します。

一般的にコスト面では、浅い地盤なら柱状改良の方が抑えやすい傾向にありますが、深い地盤では残土処分費を含めたトータルコストで鋼管杭の方が割安になるケースもあります。また工期面では、柱状改良はセメントの「養生期間」が必要なのに対し、鋼管杭は養生不要ですぐに次の工程へ移行できるという違いがあります。

※参照元:ワールドシェアセリング(https://unithouse.wssl.co.jp/page-column_20/
※参照元:千代田工営(https://www.chiyodakouei.com/kinds.html
※参照元:さくら構造(https://sakura-kozo.jp/kenchiku-cost-saitekika/jiban_kairyo_koho_hikaku/

比較③:残土(スライム)発生の有無と処分費用

工事中の残土の扱いは、総コストに直結する要素です。柱状改良工法はセメントミルクを注入して攪拌するため、体積が増えて残土が発生します。この残土はセメントが混ざっているため「産業廃棄物」としての処理が必要になり、高額な処分費用が別途かかります。

対する鋼管杭工法は、杭をそのまま回転圧入するため排土がほとんど出ず、残土処分費を抑えやすいという違いがあります。

後々のトラブルを防ぐための注意点

地盤改良工法を選ぶ際は、施工中だけでなく建物の引き渡し後や、数十年後の将来に発生しうるリスクも考慮しなければなりません。ここでは、施主とのトラブルを未然に防ぐために把握しておくべき注意点を2つ紹介します。

六価クロム発生リスクの有無

セメント系固化材を使用する柱状改良工法では、土壌との相性によって有害物質である六価クロムが地中に溶出するリスクを伴います。対して、鋼管杭工法はセメントを使用しないため、このリスクは発生しません。

将来の土地売却時・解体時の「杭の撤去」問題

将来、建物を解体して土地を売却する際に直面するのが、地中に残された「杭の撤去」に関する問題です。鋼管杭は重機による引抜撤去が比較的スムーズに行えるため、原状回復の負担を抑えられます。

しかし、柱状改良の場合は地中にコンクリートの柱が残存するため、撤去には大がかりな工事と多額の費用がかかる点に注意が必要です。撤去が困難なまま放置すると、地中埋設物として扱われ、将来的な土地の評価額や資産価値を低下させる要因になりかねません。目の前の施工費用だけでなく、数十年後のリスクも踏まえたうえで、施主に十分な説明を行い工法を選ぶ姿勢が求められます。

まとめ

柱状改良工法と鋼管杭工法は、それぞれ適用できる土質やトータルコストの考え方、将来のリスクに違いがあります。目の前の施工費だけでなく、産廃処分費や数十年後の撤去問題まで見据えて判断することが、後々のトラブルを防ぎ、施主からの信頼を守る鍵となります。

ただし、せっかく現場に適切な工法を選定しても、それが保証会社の免責事項に該当していれば、万が一の沈下事故時に多額の損害賠償(契約不適合責任)を自社で被るリスクが残ります。工法を見極めるとともに、事前に「選んだ工法で確実に地盤保証が下りるか」を規約と照らし合わせましょう。