造成直後の盛土現場において、「地盤保証の審査が通るか不安」と悩む担当者もいることでしょう。盛土が原因の不同沈下は保証の免責事項となるケースがあるほど、現場の地盤リスクや保証会社の審査基準は厳しく設定されています。
本記事では、審査をクリアするための地盤調査や改良工法のポイントをわかりやすく解説します。
このページで分かること
盛土現場は、土の転圧(締め固め)不足や、元の地盤(旧表土)との硬度のギャップ、傾斜地などの境界部分で発生する「不同沈下リスク」が極めて高い環境にあります。そのため、地盤保証会社の引き受け審査も自然と厳格にならざるを得ません。
また、保証書の発行後に無断で追加の盛土を行うと、万が一沈下事故が発生した際に「保証対象外(免責事項)」と判断されるケースが存在します。盛土は保証上、非常にデリケートなリスク要因となるため、事前に各社の保証書や契約内容を十分に確認しておきましょう。
一般的なSWS試験(スクリューウエイト貫入試験)だけでは、地中の土質が盛土なのか自山なのか判別しにくく、盛土現場の判定用データとしては不十分になる危険性が潜んでいます。
盛土の厚さ(GL-0.8mまで盛土されている等)や土質(粘性土か砂質土か)、本来の支持層の深さを正確に把握するためには、SWS試験に「ハンドオーガーボーリング調査」などをプラスして実施することが有効です。直接土を採取して確認する工程を併用し、基礎設計の判定精度を大きく向上させることが、地盤保証をスムーズに取得するための鍵となります。
地盤保証会社の引き受け審査を通過するためには、盛土の厚さ(浅いか深いか)に応じた適切な地盤改良工法を選択する必要があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
盛土の厚さが概ね2m以内など比較的浅い場合は、「表層改良工法」が適しています。これは、セメント系固化材と現場の盛土を混ぜ合わせて締め固める方法です。軟弱な盛土層そのものを強固な地盤へと作り変えることができるため、浅い地盤に対して有効な対策として広く採用されています。
盛土の厚さが深く、表層改良だけでは建物の荷重を支えきれない場合は、柱状改良のコラム(改良体)や小口径鋼管杭工法などの補強材を用います。これらを用いて不安定な盛土層を貫通し、旧表土の下に存在する「本来の安定した支持層(強固な支持地盤)」まで杭をしっかりと到達させなければなりません。この設計が、不同沈下を防ぎ地盤保証を取得するための大前提となる仕組みです。
高低差により擁壁が絡む盛土現場では、擁壁の自重や底盤(ベース)への干渉に加え、「安息角(土が崩れずに最も安定する角度:一般に30度)」を考慮した建物配置が重要となります。
もし安息角の範囲内(崩壊リスクのある傾斜ライン内)に建物の荷重がかかる設計になっていると、保証会社の引き受け審査で指摘や保留を受ける可能性が高まります。そのため、杭の配置を工夫したり、深基礎を検討したりするなどの実務的な配慮が欠かせません。
盛土現場は転圧不足などによる不同沈下リスクが潜在するため、精度の高い地盤調査(SWS試験とハンドオーガー等の併用)と、深さに応じた地盤改良が保証取得に不可欠です。自社の判断だけで瑕疵リスクを抱え込まないよう、まずは信頼できる地盤調査会社へ相談し、適切な設計審査を依頼しましょう。
A. 盛土は締固め不足になりやすく、元の地盤との境界で不同沈下を起こすリスクが高いためです。また、保証審査後に無断で行った盛土は、不同沈下事故が発生しても保証対象外(免責)とされるケースがあります。
A. はい。簡易なSWS試験のみでは地中の土質や盛土の正確な厚さが判別しにくいため、直接土を採取できる「ハンドオーガーボーリング調査」などを併用し、基礎設計判定の精度を高めることが推奨されます。
A. 盛土層が深い場合、表層改良だけでは建物を支えられません。柱状改良や小口径鋼管杭等を用いて不安定な盛土層を貫通し、その下にある本来の安定した支持層(旧表土の下)まで確実に到達させる必要があります。
A. 擁壁の底盤(ベース)への干渉や「安息角(一般に30度)」の範囲内への荷重を避ける必要があります。荷重がかかる配置の場合は、保証会社の指摘を避けるために杭基礎の配置や深基礎の検討を行います。