湾岸エリアや元沼地などの埋立地で工事を行う際、液状化リスクや地盤保証の取得は課題となります。
本記事では、液状化判定に適した地盤調査方法から、保証基準をクリアするための地盤改良工法までを解説します。
このページで分かること
埋立地での工事において警戒すべき現象として、地震時に土砂が泥水化する液状化現象と、長期間かけて広域の地盤が徐々に沈み込む圧密沈下が挙げられます。これらは建物の傾きや損壊を招く要因となり得ます。
通常、地盤保証は建物の自重による不同沈下を対象としており、地震や液状化を原因とする被害は天災とみなされ、免責(保証適用外)となるケースが一般的です。保証対象外であることを理由に対策を怠ると、引き渡し後に契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を問われる恐れが生じます。多額の補修費用を自社で負担する事態を避けるためにも、住宅会社等における自衛策の構築が求められます。なお、保証の適用範囲や免責事項については、事前に保証書や契約内容を確認しておくことが推奨されます。
地盤保証の引き受け判定をスムーズに進め、安全な基礎設計を実現するには、精度の高い液状化判定が求められます。
住宅建築などで多用されるSWS試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)は、地盤の硬さを把握する点では有効といえます。しかし、砂質土か粘性土かといった土質判別が難しく、液状化判定の根拠としては不十分になりがちです。
そこで、土のサンプルを直接採取するボーリング調査が重宝されます。また、ボーリング調査より安価かつ短納期で土質を判別できるSDS試験を導入するケースも増えてきました。客観的な数値データに基づいてリスクを判定することが、保証基準をクリアするための第一歩となります。
液状化の懸念がある埋立地においては、各工法の特徴を把握し、現場の条件に応じた選定を行うべきです。
通常のセメント系改良(柱状改良や表層改良)は、地震時に周囲の土砂が液状化した場合、側方流動(地盤の横移動)に巻き込まれるリスクを伴います。固めた改良体そのものが周囲の土と一緒に傾いてしまう恐れがあるため、採用には慎重な判断が求められます。
液状化エリアに対する有効な選択肢の一つが、砕石パイル工法(グラベルドレーン工法等)です。地中の砕石柱が水圧を逃がすドレーン効果(排水効果)を発揮するうえ、地震時のせん断変形にも追随し、液状化の発生自体を抑制する働きが期待できます。
もう一つの選択肢として、鋼管杭工法も挙げられます。液状化しない深い支持層(旧表土の下にある強固な砂礫層など)まで杭を到達させて安定的に定着させることで、地表面の流動に影響されにくい構造を構築できます。建物の規模や調査データに基づき、バランスの取れた工法を見極めることが重要となります。
埋立地での地盤沈下や、着工直前に保証が下りず高額な工法への変更を迫られる赤字リスクを防ぐには、設計初期の段階から協議を重ねることが不可欠です。SDS試験などの高精度な調査に対応し、埋立地での確かな判定実績を持つ会社をパートナーに選ぶことが、過剰な地盤改良(過剰設計)を抑えて適正コストで地盤保証を取得する鍵となります。
A. 一般的な地盤保証では、地震や液状化による不同沈下は「天災免責(保証対象外)」となる規約が主流です。万が一の被災時に施主とトラブルになるのを防ぐため、事前に保証条件の確認と施主への説明が必須です。
A. SWS試験は地盤の「硬さ」しか測定できず、液状化判定に不可欠な「土質(砂質土か粘性土か)」の判別ができないためです。土質を特定できる「SDS試験」やボーリング調査の併用が推奨されます。
A. 地震によって周囲の土砂が液状化した場合、セメントの改良体(コラム)を支える周囲の土の力が失われ、側方流動(地盤の横移動)によって改良体ごと建物が傾いてしまうリスクがあるためです。
A. 設計の初期段階から実績豊富な第三者の地盤調査会社に相談し、SDS試験等の客観的データに基づいて過剰な補強をカットすることです。地盤判定の精度を上げることが、安全性とコストを両立させる道です。