不同沈下は建設事業者にとって、修復費用の発生や施主との関係構築において実務上のリスクとなります。地盤保証に加入している場合でも、特定の免責条項(対象外となる条件)によって保証が適用されない可能性があるため、各条項の正確な理解が求められます。
このページで分かること
戸建て住宅が一方に傾く不同沈下事案のうち、原因の78%は盛土の締固め不足などの「地盤自体の沈下変形」によるものという分析があります(※1 データ時期記載なし、2026年5月調査時点)。
建設事業者が留意すべき地盤リスクと保証の実態は以下の通りです。
地盤保証には修復費用の支払い対象となる「傾斜角」の基準があり、多くの保証サービスでは「5/1000以上(10mに対し5cmの沈下)」が発動条件です。一方、入居者は3/1000程度で建具の不具合等から異常に気づき始める傾向があります 。
基準が5/1000以上の場合、沈下を認識していても基準値に達するまで保証が適用されない「空白期間」が生じます。不同沈下は時間をかけて進行するため、基準に達するまで待機を強いる対応は施主とのトラブルに直結します。実務上の顧客対応を考慮し、現場の実態に即した基準であるかを見極めることが重要です。
原因や建物用途による免責規定にも注意が必要です。擁壁の老朽化や施工不良に起因する不同沈下は、保証で対象外となることがあります。擁壁の存在を前提とした設計は不可欠であり、事故の際は設計上の過失を問われ事業者の不法行為責任として損害賠償に発展する可能性も否定できません。
また、建物用途による制限も確認すべき項目です。一般的な地盤保証は「戸建て住宅」を対象としており、アパートや店舗等の非住宅は対象外の場合もあります。非住宅は建物重量により沈下修正費用が高額化しやすいため、無保証状態での事故は事業者の大きな負担となります。物件の用途や立地がカバー範囲内にあるかの確認は必須です。
「傾斜角の基準値」や「擁壁起因の事故への対応」、「非住宅物件のカバー範囲」といった細かな規定は、保証会社によって異なります。着工後に生じうる事業者の金銭的負担を抑え、施主への対応を滞りなく進めるためには、事前に免責事項の範囲を正確に把握しておくことが有効な対策です。
保証内容に少しでも不安がある場合は、免責リスクに精通し、実務を広くカバーする手厚い保証サービスを扱う地盤調査会社へ相談することをお勧めします。
A. 地盤保証に加入していても、特定の条件や原因に該当する場合に、保証会社からの保険金・保証金が支払われなくなる規定のことです。免責と判定された場合、不同沈下の修復費用は住宅事業者の負担となります。
A. 原則としてカバーできません。一般的な瑕疵保険では、基礎下部分に起因する事故は対象外とされています。そのため、地盤リスクを補完する目的で民間の地盤保証が広く利用されています。
A. 多くの保証では「5/1000以上の傾き」が条件ですが、入居者はそれ以前の「3/1000程度」で建具の不具合等に気づく傾向があります。基準値に達するまでの空白期間の対応を誤ると、施主とのトラブルに発展するおそれがあります。
A. 擁壁の老朽化や施工不良に起因する不同沈下は、地盤保証の対象外とされるケースが多くあります。その場合、設計上の過失を問われ、事業者の損害賠償責任に発展する可能性を想定しておく必要があります。
A. 一般的な地盤保証は戸建て住宅向けに設計されていることが多く、非住宅物件は対象外となる場合があります。非住宅は沈下修復費用が高額になりやすいため、物件用途がカバー範囲内か事前の確認が不可欠です。
A. 保証会社ごとに異なる免責事項の内容や、非住宅の対応範囲などを事前に細かく精査してください。実務上のリスクを幅広くカバーする手厚い保証サービスを提供する地盤調査会社を選ぶことが有効な対策です。