地盤改良では、セメント系固化材を地盤に混合して強度を高める工法が広く採用されています。しかし、土質の条件によっては想定どおりに地盤が固まらない「固化不良」が発生するケースがあります。
固化不良が起きると構造物を支える地盤の強度が不足し、施工計画の見直しを余儀なくされる可能性があります。地盤改良を検討する際は、固化不良のリスクを事前に把握しておくことが大切です。
セメント系固化材で固まりにくい土には、いくつかの代表的な種類があります。固化不良の原因となる土質とそのメカニズムを見ていきましょう。
関東ロームに代表される火山灰質粘性土には、セメントの固化反応を阻害するアロフェンという粘土鉱物が多く含まれています。また、セメントは強アルカリ性の環境で固化が進むため、酸性を示す土質では固化が阻害されやすくなります。
さらに、二次堆積した火山灰質粘性土は有機物を多く含むため、より固化しにくい傾向があります。黒っぽい色をした土は有機物の含有量が多い可能性があり、判別の手がかりの一つとなります。
腐植土は、植物の遺骸が十分に分解されずに堆積した土で、高い含水比と有機質を特徴とします。腐植土に含まれるフミン酸等がセメントの固化反応を阻害し、固化不良の原因となります。
腐植土は通常の粘性土の2倍以上の水分を含んでおり(※)、この水分の多さも強度発現を阻害する要因です。このような土は、葦が生い茂る河川堤防の背面や谷底低地に多く見かけられるため、施工前の入念な土質確認が欠かせません。
※参照元:サムシング(https://www.s-thing.co.jp/column/nosolidify/)
鉱山跡地などに見られる重金属を含む土壌では、特に亜鉛がセメントの水和反応を阻害し、硬化不良を引き起こすことが報告されています(※)。土中に含まれる亜鉛とアルカリの反応によって生じた亜鉛酸カルシウム2水和物が、セメント水和物(CSHゲル)の表面を覆い、その後の水和反応を妨げるためです。
重金属汚染の可能性がある地域では、事前の土壌分析を行うことが重要です。
固化不良を未然に防ぐためには、事前の地盤調査を十分に実施し、対象地盤の土質を正確に把握することが重要です。土質に応じた固化材の選定については、以下のような使い分けが行われます。
| セメント系固化材の種類 | 適用する土質 |
|---|---|
| 一般軟弱土用 | 汎用品軟弱地盤(砂質土、粘性土、ヘドロなど) |
| 特殊土用 | 軟弱地盤(火山灰質土など)や六価クロム溶出抑制が必要な土 |
| 高有機質土用 | 腐植物を多く含む土 |
| 発塵抑制型 | 散布、施工時の発塵抑制 |
※参照元:ConCom(https://concom.jp/contents/countermeasure/earthwork/cat03_vol5.html)
※参照元:建設技術展示館/【PDF】一般社団法人セメント協会 セメント系固化材について-セメント系固化材の概要と適用事例-(https://www.kense-te.go.jp/wp/wp-content/uploads/2022/10/【2-4】土を固めるセメント系固化材.pdf)
これらの知見を踏まえ、施工前には以下の対策を講じることが推奨されます。
地盤改良の工法や固化材は、土質との相性によって効果が大きく変わります。施工前に十分な検討を重ねることが、固化不良の防止につながります。
地盤改良における固化不良は、火山灰質粘性土や腐植土、重金属を含む土など、土質に起因するケースがあります。事前に十分な地盤調査を行い、土質に適した固化材を選定することが、固化不良を防ぐうえで欠かせません。
地盤の状態に不安がある場合は、早めに専門業者へ相談し、適切な地盤調査を依頼することをおすすめします。