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建築業界の不正・事故アーカイブ

建物の安全性は、設計だけで決まるものではありません。地盤調査、地盤改良、杭工事、構造計算、建材の性能確認、施工、検査など、さまざまな工程と事業者によって支えられています。

一方、建築・住宅業界では過去に、地盤調査データの加工や転用、杭工事の施工データ流用、構造計算書の偽装、免震・制振製品の検査データに関する不適切行為、認定仕様と異なる施工などが問題となってきました。

こうした事例を知ることは、特定の企業を批判することが目的ではありません。どの工程でどのような問題が起こり、なぜ発見が遅れたのかを知ることで、発注者自身が地盤調査会社や施工会社を選ぶ際に確認すべきポイントを考えることができます。

このページでは、地盤調査・地盤改良を中心に、建築・住宅業界で公表された不正、不適切行為、施工不良、仕様不適合などの事例を整理しています。

※各事例については、国土交通省、自治体、各企業、第三者委員会等が公表した情報をもとに整理しています。現在調査中の事案については、今後の調査によって内容が更新される可能性があります。

建築業界ではどのような不正・不適切行為が起きている?

建築物が完成すると、地中の状態や基礎、杭、壁の内部などを外から確認することは難しくなります。そのため、安全性を確認するうえでは、調査結果や施工記録、検査データなどが重要な判断材料となります。

過去に問題となった事例を見ると、不正や不適切行為の内容は一つではありません。地盤調査から構造設計、建材、施工まで、さまざまな工程で問題が発生しています。

地盤調査・地盤改良データに関する不正

地盤調査では、地盤の硬さや土質、地下水の状態などを確認し、その結果を地盤調査報告書としてまとめます。このデータは、建物の基礎設計や地盤改良の要否を判断するための重要な資料です。

そのため、試験データの加工や他現場のデータ転用、実際の調査内容と異なる報告書の作成などが行われると、設計者や発注者が地盤の状態を正しく判断できなくなるおそれがあります。

構造・耐震・免震に関する不正

構造計算や耐震・免震性能に関する数値も、建物の安全性を判断するうえで重要です。

2005年に社会問題となった構造計算書偽装問題をはじめ、免震材料や制振装置などの性能・検査データを巡る不適切事案も発生しています。設計値や試験値、検査結果が正しく記録されていることは、建物の安全性を確保するための前提といえるでしょう。

施工・検査・認定仕様に関する問題

設計や製品の性能に問題がなくても、実際の施工が図面や認定された仕様と異なっていれば、想定していた性能が確保されない可能性があります。

過去には、防火設備や共同住宅の壁・天井などについて、認定内容や法定仕様と異なる施工が行われていた事例も公表されています。

発注者側としては、「認定された製品を使っているか」だけでなく、「認定内容や設計図書どおりに施工されているか」「施工後にどのような検査を行っているか」まで確認することが重要です。

建築業界で起きた主な不正・不適切事例

ここでは、地盤調査、杭・基礎、構造、免震、施工品質などに関して、社会的に大きく取り上げられた事例を紹介します。

発覚・公表年 事例 分野 主な問題
2026年 大和ランテックの地盤調査報告書に関する不適切行為 地盤調査 調査データの加工・他現場データの転用等
2021年 ハイスピードコーポレーションの地盤調査データ不正 地盤調査 地盤調査データの偽装
2018年 KYBの免震・制振用オイルダンパーに関する問題 免震・制振 検査データの書き換え等
2015年 旭化成建材の基礎ぐい工事問題 杭・基礎 施工データの流用・加筆等
2015年 東洋ゴム工業の免震材料に関する問題 免震材料 大臣認定への不適合・不正取得
2005年 構造計算書偽装問題 構造・耐震 構造計算書の偽装

上記は代表的な事例の一部です。今後も、地盤・建築・住宅業界で公表された事例について、事実関係や企業・行政の対応を確認しながら追加していきます。

建築業界で起きた主な不正・事故を年代別に見る

地盤調査・杭・地盤改良で起きた不正・施工トラブル

地盤や基礎は、完成した建物から確認しにくい部分です。そのため、調査・施工時に取得したデータや記録が、後から施工内容を確認するための重要な証拠となります。

地盤調査や杭、地盤改良に関連して発生した主な事例を紹介します。

大和ランテックの地盤調査報告書に関する不適切行為

大和ハウス工業は2026年7月、子会社である大和ランテックにおいて、受託した地盤調査業務の報告書作成時に、調査データの加工や他現場のデータ転用等が行われていたことを公表しました。

公表資料によると、スクリューウエイト貫入試験のデータやボーリング柱状図の加工、力学試験・粒度試験・透水試験などで他現場の試験データを転用する行為などが確認されています。

2026年7月24日の公表時点では、2012年10月から2025年3月までの間に、少なくとも4名の担当者が816件の地盤調査報告書を不適切に作成・提出していたとされています。

大和ランテックの地盤調査報告書に関する事例を詳しく見る

ハイスピードコーポレーションの地盤調査データ不正

2021年には、愛媛県松山市のハイスピードコーポレーションで、元社員による地盤調査データの不正が公表されました。

同社の公表によると、元社員が作成した202件の地盤調査報告書を調査した結果、76件で不正行為が確認されました。内訳は愛媛県65件、高知県10件、香川県1件とされています。

その後、同社は対象物件について特定行政庁への報告などを行っています。また現在は、GPSによる日時・位置情報の記録やデータの暗号化など、調査データの透明性を高める仕組みを導入しているとしています。

ハイスピードコーポレーションの地盤調査データ不正について詳しく見る

旭化成建材の基礎ぐい工事問題

2015年には、横浜市の分譲マンションをきっかけとして、旭化成建材が施工した基礎ぐい工事に関する問題が明らかになりました。

国土交通省は、一部の基礎ぐいが支持層に達していなかったことに加え、施工記録データの一部で不適切な転用や加筆が行われていたことを公表しています。

その後の調査では、旭化成建材がくい施工を行った3,052件の調査が終了し、そのうち360件で施工データの流用等が判明したとされています。

この事例は、杭が正しく施工されたことをどのようなデータで確認するかだけでなく、元請け・下請けを含めた施工管理体制のあり方についても大きな問題提起となりました。

構造・耐震・免震で起きた不正事例

地盤だけではなく、その上に建てる建築物の構造計算や耐震・免震性能についても、データや検査結果の信頼性が重要です。

構造計算書偽装問題

2005年には、姉歯建築設計事務所が構造計算を行った建築物で、構造計算書の偽装が確認され、大きな社会問題となりました。

建物が地震などの力に耐えられるかを確認する構造計算は、安全性を判断する重要な工程です。この問題を受け、建築確認・検査制度や建築士制度などについても見直しが行われました。

地盤調査の場合も同様に、報告書が存在するだけでなく、その数値がどのように取得され、誰が確認したデータなのかまで確認する視点が重要といえます。

構造計算書偽装問題について詳しく見る

東洋ゴム工業の免震材料に関する問題

2015年には、東洋ゴム工業が製造した免震材料について、国土交通大臣認定の内容に適合しない製品が販売されていたことや、不正な申請書によって性能評価・大臣認定を取得していたことが公表されました。

建築材料については、製品名だけで安全性を判断するのではなく、どの性能基準や認定に基づいて採用されているのかを確認する必要があります。

KYBの免震・制振用オイルダンパーに関する問題

2018年には、KYBおよびカヤバシステムマシナリーが製造した免震・制振用オイルダンパーについて、検査データの書き換えにより、国土交通大臣認定や顧客との契約内容に適合しない製品が出荷されていたことが公表されました。

国土交通省の公表時点では、対象となる製品が共同住宅、事務所、病院、庁舎など986件に設置されていると報告されています。

施工品質・認定仕様を巡って起きた事例

建物の安全性を確保するには、設計段階だけでなく、現場で設計図書や認定された仕様どおりに施工されているかを確認する必要があります。

過去には、共同住宅の施工不備や、防火・耐火性能に関する認定仕様への不適合なども問題となっています。

こうした事例からは、施工会社の実績だけでなく、現場でどのような品質管理を行っているか、施工記録をどのように残しているか、施工後に誰が検査するのかといった確認も重要であることがわかります。

建築業界の不正・事故を年代別に見る

建築業界では、時代によって問題となる分野や不正の手法が異なります。

2000年代には構造計算や耐火性能を巡る問題、2010年代には杭施工や免震・制振製品の検査データ、2020年代には地盤調査報告書など、建築物の安全性を裏付ける「データの信頼性」が問われる事例が繰り返し発生しています。

過去の事例を年代別に確認することで、どのような問題が繰り返されているのか、制度や管理体制がどのように変わってきたのかを把握できます。

過去の不正事例からわかる問題が起きやすいポイント

過去の不正・不適切事例は、それぞれ背景や原因が異なります。そのため、すべての問題に共通する原因があるとは限りません。

一方で、発注者側が会社を選ぶ際に注意したいポイントはいくつかあります。

調査・施工結果を発注者自身では確認しにくい

地盤調査や杭、基礎、構造、建材性能などは専門性が高く、発注者が現場を見ただけで適否を判断することは困難です。

特に地盤や杭は完成後に見えなくなるため、調査時・施工時の記録が重要になります。どのような方法で記録を残し、誰が確認しているのかまで確認することが大切です。

「報告書があること」と「データが正しいこと」は同じではない

地盤調査報告書や施工報告書が発行されていたとしても、それだけで調査・施工内容の正確性が保証されるわけではありません。

発注する際には、原データが残されているか、データの変更履歴を管理しているか、報告書作成者とは別の担当者が確認しているかなど、データ管理の方法についても確認しておきたいところです。

地盤調査データの保管・改ざん防止策について詳しく見る

元請け・下請け・再委託先で役割が分かれることがある

地盤調査や建築工事では、契約した会社がすべての作業を直接実施するとは限りません。現場作業を別会社へ委託しているケースもあります。

そのため、「どの会社へ依頼するか」だけでなく、「実際に誰が調査・施工を行うのか」「提出されたデータを誰が確認するのか」「問題が発生した際の責任範囲はどうなっているのか」まで確認することが重要です。

地盤調査会社と地盤改良会社の関係について詳しく見る

不正・事故を防ぐために発注者が確認したいポイント

発注者がすべての不正を事前に見抜くことは困難です。しかし、会社選びや契約の段階で管理体制について確認することで、トラブルのリスクを考える材料になります。

地盤調査や地盤改良を依頼する際には、次のような点を確認しましょう。

  • 実際に調査・施工を行う会社はどこか
  • 下請けや再委託が行われるか
  • 調査時の原データを保存しているか
  • 調査地点や調査日時を確認できる仕組みがあるか
  • 報告書を誰が作成し、誰が確認するのか
  • データの修正・変更履歴を管理しているか
  • 第三者によるチェックや検証の仕組みがあるか
  • 地盤調査会社と地盤改良会社の関係はどうなっているか
  • 地盤保証の対象範囲と免責条件は何か
  • 必要な資格・登録・技術者を確認できるか

価格や会社規模だけでなく、こうした管理体制を確認したうえで依頼先を検討することが、責任トラブルを防ぐためには重要です。

地盤調査報告書もしっかり確認する

地盤調査を依頼した後は、報告書を受け取って終わりにするのではなく、内容を確認しましょう。

調査地点、調査方法、試験結果、地層構成、地下水位、地盤改良の判定などに不自然な点がないか確認し、不明な部分については調査会社へ説明を求めることが重要です。

また、地盤改良が必要と判定された場合は、「なぜその工法が必要なのか」「どのデータを根拠に判断したのか」を確認することで、不要な工事や過剰な設計を避けるための判断材料になります。

地盤調査報告書のチェックポイントについて詳しく見る

不正事例を知り「確認できる会社」を選ぼう

過去に大きな問題となった不正や施工トラブルを見ると、会社の知名度や規模だけで安全性を判断することはできません。また、保証制度があるからといって、すべてのケースでトラブルを防げるわけでもありません。

重要なのは、調査や施工をどのように行い、取得したデータをどのように保存し、誰が確認しているのかを説明できる会社を選ぶことです。

特に地盤調査は、建物を支える基礎設計の判断材料となります。価格だけではなく、調査方法、報告書の内容、データ管理、第三者性、保証制度などを確認したうえで、依頼先を検討しましょう。

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当サイトでは、愛媛県・香川県・高知県・徳島県で地盤調査に対応している会社を紹介しています。対応する調査方法やサービス内容、会社の体制などを確認し、自社の建築計画に合った依頼先を検討してください。

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当アーカイブの掲載方針

当アーカイブでは、地盤調査・地盤改良をはじめ、建築物の安全性や品質に関係する不正、不適切行為、施工不良、法令・認定仕様への不適合などを取り上げます。

掲載にあたっては、国土交通省や自治体などの行政機関、企業による公式発表、第三者委員会の調査報告書など、確認可能な資料をもとに事実関係を整理します。

また、調査中の事案については、公表時点で確認できている内容であることを明記し、その後新たな調査結果や行政対応などが公表された場合は、必要に応じて内容を更新します。

本ページは特定の企業・団体を一律に評価することを目的としたものではありません。過去の事例を通じて、建築士・建設会社・工務店などの発注者が、地盤調査や施工を依頼する際に確認すべきポイントを知るための情報提供を目的としています。